真夜中 路地に這って苔を舐めた
何の音もしないのである
もう何日も雨が降っていない
溶けたバターは薄汚い瓶に詰められて
倉庫の奥で出荷を待っている
痩せぎすの犬が喉を震わせて
乙女の脱ぎ捨てた外套に身を捩りつけて
みじめな顔で虱を振り払う
待ち草臥れて 涕泣する守衛が
金庫の鍵を捨ててしまって
急ぎでない縫物仕事をしている
僕は それを嫌に思って
路地に這って苔を舐めた
やっぱり何の音もしないのである
この記事について
このページは、2016年9月16日の午前10時06分に最初に書かれました。
その後も、内容を更新したり、削除したりする場合があります。
古い記事は、内容が古くなっているか、間違っている場合があります。
その場合でも、訂正や修正をしない事もあります。
また、記事は、用語の厳密性に欠き、表記揺れも含みます。
厳密な調査に基づいた記事ではありません。これは筆者の主観です。
怪文章のようなものもありますので、回覧にはご注意下さい。
自分でも、「馬鹿が馬鹿言ってる」と思うような記事もございます。
SiteMap | ページ一覧 | サイトマップ