LINEの利用価値300万円? GDPに表れぬ豊かさ
2019/2/27 2:00
「いくらもらえたらLINEを1年間やめますか」。2018年春の卒業論文をまとめるため、金堂茉倫さんは東大在学中、約1200人に質問をぶつけた。日本だけで7900万人(18年末)に上る利用者に無料でメッセージのやりとりや通話を提供するLINE。値段のないサービスをお金に換算したらいくらになるのか知りたかった。
結果は「1人当たり300万円」。指導した渡辺努教授は「さすがに高すぎる」と計算ミスを疑ったが、再計算しても結果は変わらなかった。無料サービスに利用者が感じる価値の大きさが浮き彫りになった。
これは設問がおかしいのでは?「LINEが有料として、いくら払ったらLINEをやりますか」という設問にしないといけない。LINEに価値を感じていなくても、LINEをやめる事でお金が貰えるなら沢山欲しい!という人も、価格を吊り上げてしまう。それなら、「いくらもらえたらLINEを1年間やめますか」「LINEが有料として、いくら払ったらLINEをやりますか」という設問を両方用意すれば、LINEのネットワーク効果も少し見えてくると思う。
「いくらもらえるか」というのは基本的にタダ乗りであって、LINEに対する価値ではない。
それとは別に、確かに無料ネットサービスの「価値」とは何だろう、という問題はある。ただ、ビジネスとしては、Facebook、Googleのような巨大無料ネットサービスを提供しているところが、この手の無料ネットサービスの「価値」を大きくマネタイズしている、という点だ。LINEに300万円の価値を感じていたとしても、ユーザが300万円もLINEに支払ってくれる訳ではない。それをマネタイズしようとすると、「AKB商法」や「ホスト商法」になってしまう。青天井で貢ぐというユーザも存在するからだ。
LINEもAKBもホストもGoogleもFacebookも、無料の慈善事業ではない。必ずマネタイズしなくてはいけない。この手のアンケートでユーザが感じている価値を数字にしたところで、何の意味もない。マネタイズという意味では「いくらまで出せるか」という設問にしないといけない。
GDPでは換算できない価値、というものは確かにある。だが、その価値を生み出す為には、経済的なバックボーンが必要なのである。故に主婦や主夫には稼いでくれるパートナーや、資本の蓄積(貯金、住宅等)が必要になる。スティグリッツがまた何を考えているか知らないが、資本主義の袋小路を抜け出す見込みもないのに、曖昧な希望を掻き立てるのはやめろ。
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