静けさの

with コメントはまだありません


「静けさの」

荒涼たる野は
おだやかにうねり
その丘に 一本の黒い裸木が
すっと お立ちになっておられる。

風吹かず陽も射さず
陰もない。

だが その枝ぶりに
一抹の不安を 抱懐された予感
悪い予感

あっ!

鋭利な刃が切り裂いた
彼を 温柔たる 緩慢たる
時流を!

的中した予感を胸に
彼は その巨体を
枯草の上に どうと倒した。

彼の肉叢は微生物に食い荒らされ
食い尽くされる
一片も残されぬ 残せぬ

彼は倒れた そして大地に
身をまかせた
悲しみさえ残らぬ

野は荒廃し
大地は滑らかにうねる
その丘には
何も無い。

ただ 静かな
不安を包む 大気

静けさの・挿絵


この記事について
このページは、2015年9月13日の午後4時18分に最初に書かれました。
その後も、内容を更新したり、削除したりする場合があります。
古い記事は、内容が古くなっているか、間違っている場合があります。
その場合でも、訂正や修正をしない事もあります。
また、記事は、用語の厳密性に欠き、表記揺れも含みます。
厳密な調査に基づいた記事ではありません。これは筆者の主観です。
怪文章のようなものもありますので、回覧にはご注意下さい。
自分でも、「馬鹿が馬鹿言ってる」と思うような記事もございます。






SiteMap | ページ一覧 | サイトマップ