早期発見、早期治療が日本の厚生労働省、及びWHOのテーゼのように
なっており、精神病においても、「誰しもが罹患する可能性が
あり、早期発見が重要」という事が言われている。
「これがウツのサインかも」「自殺の予兆」等々。
ウツは誰しも罹患する可能性がある、という話は、
ウツになりやすい性格…病前性格の議論を封印し、
DSMのように操作的診断が跋扈し、単にチェックリストに
どれだけ当てはまるか、というように、マニュアル化の流れに
なっている。ウツのチェックリストが出回ったりする。
ウツの人に言ってはいけない言葉…等々もあって、
それは本来、ウツの種類、程度、進行状況、
その人との関係性…によって変わるのであって、場合によっては
「頑張って!」と言うべきシーンもあると思うが、
まるでマナー講師のビジネスマナーのように、
「ウツの人に言ってはいけない言葉」が硬直化している。
精神科を受診するという事、
投薬、精神療法も含めて、「これ以上悪くしない」というのが
基本理念であって欲しいし、予兆があるだけで、精神科による
介入を行って、果たしてプラスになるか?と言われれば疑問符がつく。
日本の幼児、児童の発達障害、自閉症等を云々するのは、
早期発見、早期治療の思想からそうしているのだろうが、
果たして、まだ自我の形成途中である彼ら、彼女らの、
「予兆」を発見し、見つける事は可能なのだろうか?と思うし、
単に学習やその他の経験(=子供同士の衝突も含め)を
得る機会を奪わないようにと祈るのみだ。
DSM-3のマニュアルが最初に米国でヒットした時、このマニュアルを
同僚や上司に当てはめて、「あいつもXXだ」というように
お手軽診断をするのが流行ったというが、それから、日本においても
その手のお手軽診断を下すのが流行しているように思う。
しかし、色々な本を読んでみると、精神科医というのは、様々な立場や
考え方がある。それでもなお、セカンドオピニオン、サードオピニオンと
求めていくと「沼」に嵌まる可能性もあるので、難しい。
診断が増えていくだけの結果にもなりかねないからだ。
それでも、色々と本を漁っていくと、かつては、かなりひどい精神病でも
治療の手立てがなく、相当の程度の症状が出る人があったようだ。
それについては、喜ばしい事ではあるし、精神医療も一定の
成果を得た…と言えよう。
それでも、例えばユニクロの社長とか、
トランプ大統領とか、社会的に名のある人に、何らかの診断名を下す勇気の
ある精神科医はいないのであって(そもそも受診しないだろう)、
そういう意味では、
やはり魔女狩りは続いているのだろうか…と思ったりもする。
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このページは、2019年8月16日の午後12時13分に最初に書かれました。
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