発達障害支援のジレンマ

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大人の発達障害において、例えば会社でトラブルが発生するで
あるとか、会社を辞めてしまうだとか…
そんな、「話題」レベルで、治療に入ってしまう事が気に
なっている。
 
発達障害において、どこまで追跡調査というのはされて
いるのだろうか?
 
「じゃあ、追跡調査をしよう」となると、多くの症例を集める
必要が出てきて、そうすると、スクリーニングして、
発達障害と診断される人を探し出していく必要性が出てくる。
 
主訴が「生きづらさ」という曖昧なものである以上、
例えば失業率や早期退職率や、不登校などと有意な相関は
あるのだろうか?
 
相関があるとして、早期退職したから、不登校だから
「発達障害だ」と診断される可能性もある。
だとするなら、この相関は、いわば作られた相関になる。
 
これが、精神病に関する統計の難しさだ。
これがジレンマだ。
 
発達障害が流行している訳ではなくて、
発達障害の「診察」が流行している、としか思えない状況に
なっているように思う。ごく早期に、幼少時に、
幼児の発達障害のスクリーニングをするのは、僕は
あまり賛成できない。
 
診察すれば、ノーリスクでメリットが得られる、というような
風潮があるが、そんな事は全然ないからだ。
ただ、親や子が自信を無くすだけのような気もしてならない。
 
誰だって、「気違い」の烙印を押されたくはない。
例えば、精神病の医者を1万人集めて、発達障害のスクリーニングを
した場合、一体、何人がヒットするだろうか?
 
一人もヒットしない、何故なら私たちは精神科医だからだ、
と言うのであれば…先生方の知っている「生きづらさ」を解消する
知恵、発達障害と診断されないための工夫を、もっと開陳して
頂きたいものである。これは皮肉で言っているのではない。
 
例えば、数十年前の、庶民の雑誌、大衆紙を読んでみよう。
今とは、全然違う「診察のすすめ」があるかと思う。
その時々、話題になる病気があり、診察が増える病気がある。
著名人が罹患した病気の診察が増える、というのは既に
観察されているかと思う。
 
僕も、父を介護している間、父の色々な治療をさせてきた。
不安なので、どうしても、検査をしますか?と言われて、
そのまま、検査をしてもらってきた。だが、CTなどはかなり負担で
あっただろうし、振り返ってみると、こちらから、不安になって、
検査をお願いしていたケースもあった。
 
父は、白内障の手術などしており、それは必要な処置であったと
思う。だが、目の方が落ち着いてきて、ポリーブを切除した。
その後、よく散歩をしていたのだが、試しに川沿いを全力疾走した
時に、心臓がドキドキする、と訴えて、それから心臓の診察を
受け、心臓のバイパス手術を受けた。
 
糖尿病だったので、バイパス手術も不適切、濃厚診察とまでは
言わないが、体力的に、走ったら老人なのでドキドキするだろうし、
心臓に関しては、心因性でドキドキする事もあるかと思う。
つまり、心臓なんて診てもらって、変な診断を受けたら、
余計にドキドキが高まってしまうのである。
 
糖尿病を放置してしまったので、それで悪化したため、
父が、予防的な診察、検診をするようになった…という事を考えると、
間違っていた…とは言いづらい。間違っていた訳でもない。
だが…。もし、ポリーブの段階から、何もせず、
糖尿病の治療だけを続けていたら、どうだったろうか、とは思う。
 
何か、ひとつ自分が病気にかかっていたら、他の病気はとりあえず
…というように、心が強くあれば良いのだろうが…、
僕は、そのようにあれるだろうか。父に関しては、本人も、家族も、
医療関係者、介護関係者、皆、ベストを尽くした。
 
だが…。違うパターンはあった。ポリーブが見つかったのは、
確か、人間ドックに父が行った後の事だったように思う。
「良性とも悪性とも言い切れないが、一応、取ってもらった」という
ように言っていたように記憶している。
 
これを取って、予後が悪くなかった事が、かえって心臓病の
診察に繋がっているような気がしてしまうのである。
脳梗塞になってからの、父を見ていると、僕は、本当に
バイパス手術なんて必要だったのだろうか…と思うのである。
 
バイパス手術の前に、家族としてサインしたのは僕だ。
やはり手術はしない…という、選択肢は、僕にも持たされていて、
それを行使する事は可能だったのである。


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