書き出し小説・採用分(3)

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書き出し小説とは、書き出しだけで成立したきわめてミニマムな小説スタイルである。
書き出し小説大賞では、この新しい文学を広く世に普及させるべく、
諸君からの作品を随時募集し、その秀作を紹介してゆく。

書き出し小説大賞:天久聖一先生のデイリーポータル記事一覧

ロボットを好きになり愛情諸々ぶつけていると、錆びてきて、それがまた可愛い。

北ウイングに待ち合わせた未亡人たちは、和服で凛として立つ。

セレブとは楽な仕事ではなく例えば歯を磨くだけでもどう散財するか悩まなくてはならぬ。

秋の海からうちあげられたタコは、プリズムを発しながら所在なさげにしている。

「皆さんの時計は狂っているので合わせて下さい」教育実習生の第一声であった。

手術が終わった。白衣を脱ぎ棄て、そのまま冬のプールに飛び込んだ。

断食芸人にも新年が来た。今日は特別に御粥が食べられる。

失業したばかりのサラリーマンの放尿が、雪を溶かしていく。

こんなドブ川にも小魚がいる。大量の義歯が沈んでいる。

本題に入ると、社長はカツラを外した。会議室の透明感が増していく。

「この人芸能人なんよ」知らない人だった。一緒に饅頭を喰った。

芸能界のドンと呼ばれる男は、大根役者と音痴の歌手が好きだ。

「おい!」総務の怒声。同人誌を会社で印刷していた事が発覚してしまった。

都内の県人会で事務を五年やってた、油屋の娘っ子、火星人にさらわれたって聞いた。

天国でさえ、それはありました。

イケメンに小さな二重アゴ、靴紐の解けあり。

汗かきベソかきバケツリレーは、笑いなしの降霊術に変わっていった。

キャバ嬢と海風を乗せて、タクシーは骨董街へ向かった。

オセロがわからず、新婚夫婦はずっとはにかんでいた。

ピアノ教室のスリッパが、おおよそ堅気のものとは思えない。

携帯も通じない田舎で、だらしなく法事が始まった。

不倫の帰りは、熱せられた非常階段をゆっくりと降りるのである。

焼きそばの鉄板に焦げ付いた麺うまい。


書き出して、人に会う

書き出しは一種のアイディアであって、アイディアを書き捨てる、即ち、投稿作品をストックして管理しないというやり方に変更して、何とかアイディアの枯渇状態から脱する事ができた。この間、書き出しオフに参加して天久先生にもお会いしたが、「最近少しレベルが上がってきた」というコメント頂いた(全体の事を云ったのか、自分に対して云ったのか、そのへんは、実は曖昧なのだが)。もう一言コメント、「百個ぐらい見ないとわからない」と仰った、これも全体なのか、個々の作家について云ったのか、詳らかでないが。

しかし、短文で結構である、プレバト等見て研究を続けたい。まだいけるのではないかと思うのである。


(4)へ続く


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