近くは三丁目の夕陽から、戦前の徳育教育、
江戸しぐさ、縄文ユートピア…と、
かつて素晴らしい日本があった…という思想が
定期的に掘り起こされるように思う。
僕は網野派なので、網野善彦に甘いかも知れないが、
それでも、網野の公界論は、抑制的ではあるし
むしろ網野を引いた小説、漫画の方にユートピアの
色が濃かったようには思う…。
かつて、小林よしのりが、「戦前の方がむしろ
凶悪犯罪が多かった」という指摘を受けて、
時代を超えて言わねばならぬ事があるのだ!
と、返した。かつて凶悪犯罪が多かろうと、かつての
徳育教育の思想は時代を超えている、という解釈でも
良いだろうか。これは、三丁目の夕陽から、
江戸しぐさ、縄文ユートピアにもいえる事だ。
だが、それなら「フィクション」であって
「現代の道徳」として語るべき事で、
史実とは違う事実に基づいて権威付けするべきでは
ない、と僕は思う。
「永遠のゼロ」は誠実に映画化するのに、
ドラえもんやドラゴンクエストといった「フィクション」には
おかしな舞台装置を作る監督もいるが、
一種、この話とも通底している部分があるのかな、
と、ふと思った。
史実を味付けした、という事を隠して、
やれ戦前は、昭和三十年代は、江戸時代は、縄文時代は、
という事が流行するのは、やりきれない思いもあるが、
衆愚だ、衆愚だと指摘するのは先がないと僕は思って
いるので、これ以上、燃え広がらないようにする
のみであろう。
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