権力を批判する笑い

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昨今のお笑い芸人は、権力を批判する笑いをしない、
権力に迎合している、アメリカのスタンダップ・コメディは
云々…という説を時々聞く。
 
笑点であれば今の円楽がそれはやっているし、
ナイツの漫才であってもそれはやっている。
 
そうじゃなくて、そういう説を語る人は、
巨大な権力をキョーレツな皮肉と話術で叩きのめす、
っていうのが見たいのだと思う。
 
違うんだよなあ…。
現代における、僕らが感じ取る「権力」っていうものの
正体は何なのか?何が権力なのか?という考えも
巡らせないまま、旧態依然とした「権力批判」を
しているように思うんだな…。
 
巨大な国家権力のリアリティというものは、
メディアやネットの報道によって観念的に作られている。
権力の象徴のアイコンがホワイトハウスや国会議事堂
だとして、反権力の人たちは、それをまるでアニメの
ショッカーの基地のように眺めている…。
 
僕らが実感として感じる権力は、もっと身近な、
僕らがそれぞれ属している小社会の中の権力である。
例えば近所の偉い人とか、地域の偉い人とか、
会社の直属の上司であるとか。
 
また、権力そのもののありようも変化してきている。
相対的に国家権力の立場は下がり、私企業の権力が
増してきている。また、権力がどう僕らを支配するか
と言えば、フーコーの言うような生政治、生権力、
つまり生身の人間を支配する、といった様相を呈して
きている。生政治、生権力は、西側諸国においては
FANGと呼ばれるような大企業のやっている事に
リアリティがある。
 
そういう状況の変化がある中で、僕は、今のお笑い芸人
というのは、そういう状況の中でのお笑いをちゃんと
やっているように思える。目下、生活していく上で
「アベ政治を許さない」よりも「理不尽な上司」の方が
問題であったりする訳であります。
観念的な「国家大権力」というのはあくまで観念的だ。
 
その「理不尽な上司」というキャラクターがあったとして、
そのキャラクターを掘り下げる事で生政治、生権力の
大きな影を暗示するような笑いもあると思う、
つまり、お笑い批評をする側が、古い権力観に立っているから、
「権力を批判する笑い」が見えていないのです。
だいたい、人類の長い歴史の中で、ストレートに権力を
批判できていた時代なんて短い訳ですからね。
 
江戸時代、戦国時代の武将を英雄化して物語にするのは
タブーだったと言われ、国性爺合戦など、もっと古い
時代に当てはめていたなどと言われています。
昭和の時代を席巻した時代劇…あれなんかも、
時代劇という体裁を取りながら、悪しき権力が
倒されたりするものに喝采を浴びせていた訳であって、
僕ら視聴者の側も、本当に「ストレートな権力批判」を
観れるかどうかは疑わしい。家族でテレビを見るとして、
家族の中にも権力はある訳ですから、そういうのって
気まずくなるじゃないですか?
 
「権力はここにあって、それはこうです、こう叩きのめすと
面白いですよ」なんて公式がある訳でもなし、
何言ってんの?って感じですね。
ストレートな権力批判が観たいなら、存分に見ればいいだけの
話であって、そういうコンテンツにちゃんとお金を出して、
コツコツファンを増やしていけば、そういう「笑い」も
育つでしょうね。
 
テレビによって、更にネットによって、メディアが個人のものに
なっていった…。個人のものでありながら、万人が観るものにも
なっていた訳であって、そういうメディアの構造の変化も大いに
関係があると思うんですが、
「権力を批判する笑いがない!」と批判する方々は、そういう
状況も何もかも捨象して、ただ、ウーマン村本を持ち上げるのみ
ですから、もう、言うべき言葉はありません。
 
安倍首相が長期政権になって、古い権力観、古い権力批判が力を
盛り返してきたように思います。安倍首相が倒閣しようと、
自民党がまた下野しようと、色々な可能性はありますが、
その古い権力観、権力批判を持ったままの連中が権力を取った時に
どうなるのか?僕には、まだ、相対的に、自民党の方が
権力観を正しく認識しているように思えるのですね…。
それが長期政権の秘密かも知れません。


この記事について


このページは、2019年3月25日に最初に書かれました。
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