幸星瞬いて

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ヤンママ・カップのトロフィーがロバートの試金石となったその日、マリーは飼い犬と共に三つ子を生んだ。
彼女は出産の産湯を飲み干すと、ジーザス!と叫んだ。それは、古びた居間によく響いて、トロフィーは揺れた。
そんな喜劇も、ロバートの絶望には膏薬ほどにも効かなかった。涙の幸星である。

その祝杯(つまり、ヤンママカップ)は、ロバートの家庭に幸運を齎した。ロバートとマリーは、良き夫妻であって、
債権取引で財を為していた。その上に、犬とマリーに、子供たちが大量に生まれたのだから、
ちょっとした、パニックと言ってよかった。

必ずしも、必要なのは、仕事であって、子供ではない、とロバートは言ったけれども、
豆を煎るのに忙しかった。マリーは、豆を煎るのに、忙しかった。贅沢は敵なのである。
子沢山、日常生活、アッパラパーのマリーにとっては、豆を煎る事のみが、現実逃避の手立てであった。

幸星、瞬いて。

そこで、裁判官の名判断。つまり、有罪である。

子犬のうち、末っ子が有罪となった。カフカの審判さながら、突然の判決となって、悲しみ芝居もさながら、
カリフォルニアロールがインドシナで三国一の、マルキスト・パーティの前菜となる、大惨事。
とにかく、とにもかくにも、幸星瞬いて。

幸星、瞬いて。

(終)


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