チョコレート屋さん

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ある親族からの相続で、それについては詳しく言えないんだけど、まあとにかく、まとまったお金を得て、僕は、実家のチョコレート屋さんを復活させようと思い立った。それを決意した日は、ジャーン!!!こんな日だった。

僕は、エンジェルマンの着ぐるみを着たまま、喫茶店で涼んでいた。ああ、とても暑い日だったね。エンジェルランドのエンジェルマン…。エンジェルランドのボスは言った、家に帰るまでがエンジェルマンだ、それまで寄り道したっていい、だけど決してエンジェルマン・スーツを脱ぐな、と。だから、僕はその通りにしているまでだ…冷房のよく利いた喫茶店で、僕はアイスコーヒーを頼んだね!セルフサービスなので、えっちらおっちら、アイスコーヒーをトレーに載せて、運んでいったというワケさ。

隣の席では、女の子がふたり、差し向かいに座って、痴話喧嘩を静かな静かな、低い早口で続けていた。この女の子は、僕が来る前からずっと話していたようだった。話の内容を解釈していくとこうだ、この女の子同士は付き合っていた、だけどプラトニックなラブだった、そこにひとりの男が現れた、とにかくイケメンだった、片方の女の子に近付いて、思わせぶりな態度を取る、キッスも奪ったみたい、心が動いてしまう、それでふたりのバランスは崩れた、更にそのイケメンの彼女が現れて、縁日の日に、ムードたっぷりに、もう片方の女の子に近付いた、そっちの彼女ともう片方の女の子は、関係が進んでしまって、もう戻れないよ…というようなワケだった。

そんな話を聞きながらね、僕は、ゲーテの詩集を読んでいた。これは十年前からずっと読んでいて、まだ読み終わらないっていうワケ。ふむふむ…ふむふむ…僕はとても読書をするのが苦手なんだ。全然入ってこないってカンジ?だけどさ、お酒弱いヒトでも、お酒好きって言っていいじゃない?読書はダメなの?

と、刹那、お皿の割れる音がした。喫茶店の店員が、手を滑らせたのカナ?と思った。ところが、皿も、カップも、トレーも、大量にメチャクチャに落ちて、割れたり、転がったりする音が聞こえたんだ。僕はビックリしちゃった。これは悪いヤツの仕業カナ?ってピンときたんだ。家に帰るまでがエンジェルマンだからさ、エンジェルマン・スーツを着ている限りはね、僕、その音がした方に駆け寄っていったのさ。エンジェルマンは、犯罪者の家族の味方っていう設定なので、まず、犯罪者をこらしめるっていう、流れがあるのね。

そしたらさ、スーツのオジサンが、無表情で、無言で、セルフサービスで皿とかをさ、返す棚があるじゃない、そこの棚の、返却された皿やら、カップやら、トレーやら灰皿やらナプキンやら食べ残しやらを、その妙に長い手でもって、全部床にぶちまけているんだ。まるで砂場遊びでもしているような手つきでね。どうしちゃったのよ?僕は、ひるまずに言ったね。

「何をしてるのよ。迷惑じゃないのよ。迷惑じゃ…」

オジサンは、肩をすくめて、

「日本は1753年からOWDJMFLで、OTOWOTSTRZEEZNSだから、T’SIIMEOPINAPT」

って、何か、聞き取れる範囲ではこんなような、イミフメイな台詞を吐いて、逃げていったね。僕ったらさ、逃がさないように、肩を掴んだのよ。それはもう、グイっと掴んだね!!そしたら、もっとビックリしちゃった。ヌルっとしてるの。オジサンの肩が。で、僕の手は痺れる。危ない、薬のような感じでね。僕はすぐに手を洗った。その間にオジサンは逃げてしまったし、警察も来て色々と聞かれた。

僕は、手を洗っている時に、実家のチョコレート屋さんを復活させようと思い立った。それを決意した日は、こんな日だったってワケ。そしたらさ、説明してなかったけど、数年前にお父さんやお母さんはもう亡くなってしまった、それで店を閉めちゃったんだけどさ、チョコレート屋さんは、お父さん、お母さん、それから二人の職人で回していたんだよね。僕は、すぐに電話したよ。お金はあるし、店もまだ残っているから、もう一度、やってくれないかってね。

だけど、電話番号は「現在使われておりません」って、住所も、変わっちゃっているみたい、手紙も出したけれども、不在で帰ってきちゃった。メールも何もNOT FOUNDさ、どっちの職人とも連絡が付かない。どうしようかなーって考えている時に、そう、それは雨の日だった、僕は、駅とは逆の方向に歩いていったのね。そしたらさ、

「坊ちゃん!!お懐かしい…」

その職人に、それも二人揃って、バッタリ会ったんだ。話を聞けば、二人とも、職を転々としながら、消費者金融からお金をいっぱい借りてしまって、闇金にも追われて、債務整理をした後に商工中金の人が全速力で追いかけてきたから、とにかく逃げて、無賃乗車で乗り継いで、たまたま、ここを通りかかったとのコト!!ねえ、僕が借金を返してあげるよ。だから働いてよ、って言ったのさ。そしたらね、

「坊ちゃん、それなら、階段を上がって下さい」

「階段?わかったよ。何があるか知らないケドさ!!」

何か、変な雑居ビルの階段を上がらされて、太ももが痛くなった、うん、フロアぶち抜きの広い部屋、内装はキレイに作ってる、数十人の、紳士淑女が、遠慮なしの歓声とスタンディング・オベーション。あれ、凄い、ハリウッドスターもちらほら、混じっているし、あれはもしかして、誰だろう、名前出てこない、何か有名な海賊の洋画に出てきた俳優だ、ほら、いるじゃない、あの人、カリブの海賊に出てくる人、うん、この光景は何だろう、と思ったら、司会の人が、

「ハッピー・エンディング!!!この小説のフィナーレです。あなた、主人公役お疲れさまでした。これで、終わりでーす」

なーんて、言うんだよね。小説、頭おかしい、現実と小説の区別が付いていない、大丈夫かな、この人たち。新興宗教に入れられる、ジョニー・デップが僕をじっと見ている?きっとそっくりさんだろう、だけど僕はチョコレート屋を再開するし、ワイガヤ町おこし隊にも登録した、明日はワイガヤ隊のワークショップがあるから…雷おこしで町おこしなのさ…。

それで LIFE IS COMIN’ BACK 僕らを待つ
OH BABY LOVELY LOVELY こんなすてきなデイズ
いつか誰かと完全な恋におちる
OH BABY LOVELY LOVELY 甘くすてきなデイズ


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